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​タンギング・アタック

​タンギングとアタックのクオリティ

ここでは、1アタックの練習、2タンギングの練習をあげていきます。

1. アタック

タンギングとは総じて舌を打つことですが、音の最初の瞬間のタンギングを「アタック」と言ったりします。このアタックは「音の練習」カテゴリに入ってます。教本として最も有名なのが、モイーズ : ソノリテについてが一番使われている本だと思われます。

この本の中にアタックの練習というのが載っています

 

一つの音(例 中音ファ)から半音ずつ、毎回最初の音に戻りつつ、ジグザグと段々音が離れて行くという練習です。

 

課題1がアタックの練習で、その後課題2&3はスラ―になって跳躍の練習、課題4は全部スラ―で繋がって唇のシナヤカさ必須の練習になってます。

今回はアタックのお話なので課題1です。

私はこの練習を、まずフっフっ(腹筋)と舌付なしで行います。案外難しい。中・低音域の舌無しとか結構調整がいる。でも何事も基本はお腹からの支えなのでまずはこの練習をします(参照:腹筋の使い方)。

その後タンギングを入れるわけですが…タンギングはツクと言いますが、ツク方ではなくて引く方を意識した方がキレイに出来ます。「タ・テ・ト」どの文字も、舌を付いて発音してるのではなくて、引いて発音しています。(同じタ行のチ&ツを入れなかったのは、厳密にはTじゃないから)

 

吹奏楽部時代、よくアタックを揃えてとか、アタックを丁寧にとか言われました。吹奏楽器の難しい(&基本)技術の一つなのかもしれません。

【アタック失敗例と解決策】

八分音符や四分音符が1音、ff 指定で記譜されている

ついつい張切って思いっきり力任せに「Tu!!!!!!!!」と吹いてしまい、ピヤっ!!!と音がひっくり返る。ペッ!!!と吐き捨てるような音になる。べらぼうに音程が高くなってしまう。

この時に必要なのは、とにかく息の支え。

タンギングが強くなれば、その分後ろからのサポートが必要になるわけです。そのサポートは息の支え(量ともまた違う)です。

 

私の元師匠が、最もタンギングが上手いと感じるのはフランス人(フランス語圏人)と言っていました。フランス語は母音が後ろにある事が多いので、多分息の通ったタンギングの仕方を知ってるのかな?と思いました。日本語は案外子音がキツい言語なので(でも子音の連続には弱いという・・・悲しきかな) 、タンギングはタップリ優しく・・・みたいなイメージで練習されると丁度良いかもしれませんね。

photo(6).jpg

2. タンギングの練習

【タンギング時の音を美しく出す】

タンギングは、フルート演奏の中で大事なものの一つです。タンギングは舌が快速に動けば良いという問題でもありません。タンギングの強さ、雰囲気、アーティキュレーションが変われば、音楽の表情が全く変わるからです。かつてバロックフルート時代にはアーティキュレーション(タンギングによって出来るフレージング)が表情を付ける為に使われた大きな手段でした。

 

 

とはいえ、やはりタンギングの速さ、つまり舌の筋力を付ける事も練習の一つです。

【コツは息と鼻母音】

皆さんの中でも、綺麗な音が出せるのに、タンギングが続くフレーズになった途端、ペペペペっという音になってしまって、悲しい思いをされている方も多いのではないでしょうか。私の留学時代の先生はフランス語圏の人でした。先生曰く「フランス語圏の人が最も綺麗なタンギングをする。」
ということでした。これは決して「フランス語圏の人を超えられない」という問題ではないので、ご安心を。

フランス語というのは日本語と同じようにほぼ子音と母音のセットです。(子音だけが続く事ももちろんありますが。)しかし日本語より子音(とくにKやT)がきつくなく、鼻母音が多いため口の中から鼻腔にかけて、何か響かせるような音をよくつかいます。私は個人的にこれがフランス人が綺麗なタンギングをする要因ではないかと思っています。

日本人の思うTKTKは、ちょっと発音が強すぎて、後ろに流れる息がないのです。フルートの音そのものは息を出す事によって出るので、結果、音の内容がないペペペッと吐き捨てるようなタンギングになりがちなわけです。タンギングが美しく聞こえるには、舌の動きもさながら、息が通っていなくてはいけません


もう一つのフランス語圏人のメリットとは”鼻母音”と思っています。鼻母音とは鼻に掛けて発音するONやANなどです。

 

留学時代、フランス語話者の友人が”熱燗(あつかん)”と言ったのですが、その”ATSUKAN"の”AN"がとても鼻に掛かっていてなんとも太々しい態度のお客になっていました。(太々しいお客になったつもりで、皆さんも試しに鼻に掛けて言ってみて下さい)

この”鼻に空気が抜けて行く感じ”をすると自然と口の中が広がります。この感じは音作りの上でも重要ですし、実は歌唄いの人もこの辺りをとても注意するようなのです。フルートの音作り技術は歌に似ていますから、なるほど納得です。

私はタンギングが続く時には、より一層息の流れを注意するようにします。舌の上を息が流れて行くのを意識し、舌を包み込めるだけの息の量と、支えも必要になります

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