難しいパッセージの練習方法

​部分練習・改造練習

​ここでは練習の鉄則と、具体的な練習方法をご紹介します

練習の工夫の鉄則

練習方法は本当に大事なことの一つです。練習の仕方一つで、時間を有効に使って上達する事が出来るか、はたまたただ疲れて終わるだけか・・・。10時間練習しても、練習の仕方が悪ければあまり効果は望めません。

 


趣味の方はともかくも、音大生や、音大に進学しようと思ってる人は、ちょっとした計画を立てて練習すると、頭も整理出来ますし、練習した事が記録に残るので、後から見直したときにも役に立ちます!といいつつ、私が若い頃は「どうやって有効に時間を使おう」と計画を練る事にやたらと時間を掛けてしまったり・・・そんな時間があるなら練習しなさいとも言えますが。

大事なのは、出来ない所から練習です。あまりに当たり前の事じゃないか!と思われた方は、正しい練習をしているのでご安心を!でも、案外出来ないところを、「まぁまぁこれはこんな感じで・・・」「ここはちょっと後でね・・・」と飛ばされている人も多いのでは?ここでちゃんと向かい合えるかが勝負所です!

 


ですが、ただ我武者らに面と向かい合って100回間違えてしまっては、筋肉が間違えた事をどんどん覚えてしまいます。出来ない所との戦いの鉄則は

1. 何が出来てないのかを把握する


2. 小さく分断して、最も出来てない所から練習する
 

3. ゆっくり確実に練習する


なんだ、聞いた事あるな。みんな同じ事言うよと思われた方、そうなんです!魔法はないんです!残念!

1. 何が出来てないのかを把握する

案外何が出来ていないのか把握しないで我武者らに練習してしまう事が多いようです。例えば何故か吹けない1小節。実は吹けないのは、たった1拍の十六分音符に集中してるかもしれません。高音のミに行く時に、左手薬指が上がってくれないの一点に集中しているかもしれません。原因を突き止めてみて下さい

出来ない理由は??? 例えば・・・・

指が動かない・・・これには幾つかの理由が考えられます。指は脳からの司令で動きます。つまり脳が出すべき司令を分かっていなければ、指は動きません。

 

当たり前ですが、指使いが分かっていなければ、もちろん指は動いてくれません。では、指使いは分かっているのに、指が回らない理由は??

1.音の並びが覚えられていない

次に何の音に行けばよいのか実は分かっていないということが考えられます。そんな時はドレミで音の並びを言ってみて下さい(音程が難しい場合はつけないで)。どうでしょう?意外と言えなかったりしませんか??

​2.反応の悪い指

また指は”指”という小さいものですが、筋肉で動いています。つまり「鍛える」必要があるのですが、特に普段の生活で使っていない、小指や薬指は(神経はつながってるとききました)動きが鈍いです。 彼らの動きが鈍くて出来ないことが多くあります。普段からなんとなく「小指よ動け!」と脳から指示を出してると、段々活性化してきます。

3.タンギングと指のタイミングが合っていない

これもよくあるパターンです。ゆっくりからで良いのでとにかく合うようにするのがポイントですね!

2:小さく分断して、最も出来てない所から練習する

1番と少し被りますが、1小節出来なくても、最も出来ない所を練習し、出来るようになったら、もう1拍なり2拍なり足して行く・・・という練習方法です。円周率も、まずは3.14から覚えますね。いきなり20桁に挑戦する人は中々いないでしょう。少しずつ筋肉に覚えさせて下さい。(後半でたくさんの部分練習を紹介します!)

 


3:ゆっくり確実に練習する

ゆっくり確実。。。そうです。太極拳のスロームーブメントも、ジャッキー・チェンの早技につながります。いきなりジャッキー・チェンの速さで動いても、ただのハチャメチャなのです。まずは確実に。

よくある悪い練習法パターンでは、間違えて10回吹いたあと、一回成功すると通り過ぎてしまうというのがあります。そうすると、筋肉は10回間違えたパターンを覚えてしまいます。筋肉の記憶力とは侮れません。例えゆっくりでも、「成功」を繰り返して下さい。すると段々筋肉が動きを覚えてくれるようになります。
 

 

いつの日か至難の業につながる日を思って、ゆっくりの時に息をきちんと入れて良い音で練習する事を忘れずに!

リズム変化の練習

フルートの難しい物の一つに連符があります(速い音符が連なってるのを私はこう呼んでいます)。
色々な練習方法があるのですが、ここではまず、リズム変化の練習。

例えば以下のような譜面。

この十六分音符群を、以下のリズムのように変えて練習します。

このようにリズムを変える練習は、どこがつっかかるというのではないけれど、なんとなく指が滑ってしまうという時にとても役に立ちます。音量(音幅)の不均一などにも役に立ちます。
注意すべき点は、リズムをとっても気をつけることです。何となくの付点とかではなくて、”確実メッキリ、ムチャクチャ正確”な付点にすることです。自分の指に”こう動きなさい!!”としっかり司令しながら動かす感じでしょうか。そしてどの音もしっかり鳴るように。付点だからといってホゲッとした音でも良いかな、なんて聞き過ごさないように、気をつけて下さいね。

 

この練習方法は故小泉剛先生の著書、フルート演奏の基礎(携帯はこちらから見れます)に載っているものです。私はフルートは小学校のクラブ活動で独学で始めました。きちんと習い始めたのは高校生になってからです。音大に行こうとその時決めたので、それはそれは快速スピードで上達しなければなりませんでした。その時にこの本に出会いました。というより、先生に教えて頂いたのですが。。。この本は、今では絶版になってしまっているようで、お値段が高くなってしまっているのが残念なのですが・・・実に実に役に立ちました。

これはほんの一部の例に過ぎませんが、練習方法に関しては、とにかくこの本から沢山のアイデアを頂きました。今でもこの本の練習方法を、自分自身も実行し、生徒達にも教えています。

アーティキュレーションを変える練習

リズムを変えて練習する方法をお伝えしましたが、今回はアーティキュレーションを変えて練習する方法です。アーティキュレーションは、超王道本&一生役立ち本である音階教本タファネル・ゴーベールに載っているのを参考にされればよいと思います。

アーティキュレーションを変える練習は、例えば連符(速いパッセージが続く)『何となく出来てるのだけれど、どこかばらついている』時に役に立ちます。

 

 

なぜなら、聴き心地の良いアーティキュレーションは舌と指のタイミングがバッチリ合っていなくてはならず、指のコントロールが要求されます。(もちろん舌のコントロールも同等に要求されますが)そして、アラというか、音のバラつきのような物がアーティキュレーションを変える事で見えてきます(実は上手くミが出てなかったのを気にしていなかったのが、タンギングしたら全く出なくなって気付いたとか・・・)

 

アラがどんどん取れて行くのです。何となく全体的には出来ているケーキだけど、どうも見た目が野暮ったいケーキ・・・を素敵な繊細なケーキにしたい、そんな時に使える練習という感じでしょうか。

またアーティキュレーンは、言ってしまえば『表情』です。この練習では各アーティキュレーションの持つ表現力と、タイミング注意しながら練習して下さい。アーティキュレーションと表情(イメージ)については、タンギング項でもお話しているので参考にして下さい。

故小泉先生の著書でも書かれていますが、『音の練習の時は、指にも気を使い、指の練習の時には音にも気を使う』つまり、指の練習だから音はどうでも良いとか、アーティキュレーションは適当にとか・・・それではいけないということですね。

細かく区切ってLOOK UP-

小さく分断して、最も出来てない所から練習する

 

というのは大事です。1小節出来なかったら、最も出来ない所を練習し、出来るようになったら、もう1拍なり2拍なり足して行く・・・という練習方法です。
この方法は、特に音が取りにくい時に役に立ちます。 

 

”音が取りにくいから出来ないんだ”と先ず気付く事が必要ですが(原因を探る)、大体臨時記号が沢山あるとか、調性が小節ごとに変わる曲とか、音が飛び飛びの近現代曲などは「音が取りにくくて、指が回らない」ということが多いです。脳からの司令が薄い・・とでも言いましょうか。
 

この音列は、ある程度のレベルの人には難しくはないのですが、取り合えず用例として。
これはロジックで分けると、一小節めは in G (in Eマイナーとも)、2小節めは in A 三小節めはまたin G で、最後は in Cの調号になってます。そのロジックに気付けば良いのですが、ソルフェージュ力がまだあまりない人にはこれを一気に吹くと、臨時記号だらけで頭がグチャグチャに・・・となってしまうわけです。

そんな時は、一小節めだけを先ず練習します(次の小節の頭の音まで)。これだけなら難しくありません。

次に二小節めを練習します。♯3つという時点でグっっと来る人もいるかもしれませんが、一瞬忍耐で何回か”間違えずに”吹きます。違う音が入ってしまうと、頭が音を覚えてくれないので、違う音を入れないように間違えずに吹きます

 

何回(5回とか、10回)か出来たら、次に”LOOK UP練”です。見ないで練習するという練習です。


 

例えば一小節め

ミ ファ# ソ ラ シ ド  I ド#(←次の小節の頭の音まで)

と取り合えず見て吹いたら、次に楽譜を見ないで吹きます。見ないで何回か繰り返します。この時も”間違えずに”。集中!!!!!
もしどうしても必ず間違えるようでしたら、それは指の動きの問題かもしれないので、その間違える音&その隣の音だけまず練習です。


そんな調子で3小節目だけ、4小節目だけと練習します。

一小節毎に出来るようになったら、1小節目+2小節目。3小節目と4小節目。2小節目と3小節め。と2小節単位で練習し、1小節めと2小節め→1小節め+2小節め+3小節め・・・と段々増やす練習などもします。


後ろからの練習もしてみます。

4小節め→3小節め+4小節め→2小節め+三小節め+4小節目→1小節目+2小節目+3小節目+4小節目と後ろから段々増やす方法も効果的です。


後ろから増やすなど、細かい練習方法のアイデアは小泉剛先生の、フルート演奏の基礎がとても役に立ちます。絶版になっているようですが中古では見つかるようです。復版を期待しています!

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