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​現代奏法

​ハーモニクス・フラッター・ホイッスルトーン・発声奏法

現代奏法、特殊奏法というと難しい感じがしますが、慣れてしまえば特に難しいという物では(難しいのもありますが)ありません。曲に出てきたときだけ練習すると、短期間準備でヒエェェとなったりするので、地道に常々やっておくと良いでしょう!小泉浩さんのフルート現代奏法には解説が、ウィル・オッフェルマンスさんの教本はエチュードになっています。


フラッターゾング

 

通称フラッターです。最初は吹奏楽部でホルンを吹いていて、曲中に出て来たのでホルンパートの皆で覚えた記憶があります。先輩は既に出来ていたので、よく使用される現代奏法でしょうか。

フラッターは、巻き舌(ルルルルル・・・)か、喉(うがいみたいな音:フランス語のR)で行います。


フランス語圏人は圧倒的に喉が多く、イタリアンや、ギリシャ人は舌で行うようですが、日本人は人に寄ると思います。言語的に、ラ行はRとLの間みたいですし、喉をならす発音はないので。

ちなみに、私は巻き舌派です。最初はいきなり出来なかったので、やくざさんの、”おんどRRRりゃーーー”を言いながら、だんだんRRRRRを強調+伸ばして行きまして、最後にはRRRRから始められるようになりました

 

まだ15、6歳の若い頃だったのでそんな単語しか思いつきませんでしたが、何秒間か自然と続けられるようなれれば、なんでも良いのです。音はこんな感じです。

ゆったり目と、速いのとでは音色の感じも変わります。上のビデオでは、息のスピードも変えてます。始める瞬間が難しく、振動が強いと炸裂音が入ってしまいます。いかにスっと始められるかが大事です。タンギングが強く鳴っても良い場合は、Trrrrrですが、スーっと始めたい場合は、最初にHというべきか、フルルルルというような感じに始めます。

 

ここで大事なのが息の支えです。息の圧力が弱い音では、暴れ馬になっている舌によって乱されている息の流れを押さえる事が出来ず、結果音も乱れ放題、スカスカ、ガサガサになってしまいます。上手にフラッターが出来るようになる=息の支えも良くなるという感じでしょうか。

現代奏法は、息の支え、安定性、アンブシュアのしなやかさなど、究極の”基礎”を求められる事が多いので、自分の基礎力を上げてみる良いチャンスにもなります。

 

現代奏法の本は、日本語だと小泉浩さんのフルートの現代奏法 がよくまとまっています。特殊トリルの運指なども載っていますが、いくつかImpossibleなものがあるようです。英語も書かれているので、世界的に売られています。
 

ハーモニックス

現代奏法の中ではフラッター同様良く使われている奏法で、現代まで行かなくとも近代位から使われているかもしれません。ちょっとパイプに空気が通ったような、幻想的な音がします。然程難しくないので、よく使われるのかもしれません。

ハーモニックスは倍音。言ってしまえば、フルートの中音域の音も低音域の指遣いの倍音で出しているので、そういう意味では既に知っている奏法ということになります。

 

最初の要領は、つまり低音のミ〜シと中音のミ〜シの吹き方の違いが分かれば、何となくは分かっているということになるわけです。

この練習は高音域のキンキンカンカンに悩んでいる人にもお勧めです。ピッコロ高音域のチューナーの振り切れ度が半端ないんですという人にもお勧めです。My ピッコロを初めて手にした頃、当時オーケストラのピッコロ奏者であった先生に、ピッコロはまずはハーモニクスをうんと練習すると良いよと言われました。吹奏楽部などでピッコロを吹く皆さんは是非練習してみて下さい。

一番簡単な練習方法は、トレバー・ワイ フルート教本 1 音づくり(参照ページ)にも載っています。低音域のドの指使いで、中音のド、ソ、高音のド、ミ、ソまで出るという練習です。この他にも、簡単なミニエクセサイズがついています。ミニエクセサイズの方になると、少し難易度が上がります。

ハーモニクス-1.jpg

ハーモニクスが何故”音作り”の教本に入れられているかというと、唇のしなやかさ、息のコントロール技術、空気圧の調節とでも言いましょうか、それら音を作る上で大事な条件能力の向上に役立つからでしょう。


中音域&高音域を唇に頼りすぎていると(口の締め具合だけで出していると)、上のハーモニクスの高音域のミからは厳しくなってきます。ブブブっ!っと口が言ってしまうかもしれません。息&空気圧(お腹)の支えが大事になってきます。ピッコロはドがないので、レやミで練習します(ハーモニクスの音も全音、2音上がります。高音域は相当難しいです。)

ちなみにハーモニクスとは倍音なので、例えば高音の”ド”を吹いても、指使いの音である”低音のド”が何となく聞こえるのです。この何となく聞こえるというのが重要で、”全く聞こえない。正規の指使いと変わらなく聞こえる”場合は、かなり口に頼って出している音なのです。

ハーモニクスは大体出来るという上級者の方にお勧めなのが、【ウィル・オッフェルマン】現代フルート奏者のためにです。他にも色々な奏法が載っています。ハーモニクスは中々楽しい曲になっていますが、スピードに乗って吹くと、最後に難関があって中々面白いです。是非お試しあれ。

発声奏法(喉が閉まってしまう人にも有効)

この吹きながら歌うという現代奏法。現代曲では頻繁に使用されるテクニックです。

このテクニックは、そんなには難しくありません。とにかく吹きながら歌う

 

1.最初は楽器なしでフルートを吹くような口の形にして「うー」と声を普通に出します。

2. 息をフルートを吹くかのように勢い良く出す。その時に声が止まらないようにします。喉の振動が(喉に)感じられるかもしれません。

3. 次は楽器を持って、音を出し、そして声を出してみましょう。音は「悪く」なり、声も「美声」ではないのですが…この奏法が狙っているのは別効果なので、それで構いません。

 

↓冒頭のソロが吹きながら歌っている。
 

このようなテクニックが出てくる曲を浚うのは上級者だけかもしれませんが、ただ、この奏法、意外な所で別効果があります。それはフルートを吹く時に喉がウッウッと鳴ってしまう人です。喉がウッと鳴るのは、喉が変に閉まっていたり、力が入っていたりするから。段々治りましたが、当初私もそういうことが良くありました。


同時に歌う声帯を態と鳴らすこの方法は、喉に力が変に入っていると出来ないのと、喉の振動を自身で感じる事が出来るので、より喉に意識を自然と持って行くようになるようです。


喉の解放にも使える現代奏法!是非練習してみましょう!
 

ホイッスルトーン

結構デリケートな奏法で、小泉さんの著書によるとかなりのテクニックを要するということなので、上級者のチャレンジでしょう。

こればっかりは、兎にも角にも練習あるのみです。口をタコ口にしないで、口笛を吹くことが出来る人は、その要領です。

要点

1:息の量は非常に少なく、スピードもとても遅い
2:唇は殆どまるで何もしてない状態。小さく吹き口の穴が空いている程度
3:お腹の支えと息の圧力はいる(息を吐こうとして口を閉じたような状態)


側から見たら、音も聞こえず(小さい)、まるでフルート持って止まった人に見えるかもしれません。本当の音が出てしまったら、息が強すぎるのです。

求められるテクニックとしては、

1:出て行く息の量のコントロールの調節を求められる(お腹の支えが重要)
2:息のスピードの安定。(すぐにピヨリ!という。お腹の支えが重要)
3:アンブシュアはとてもフリーな状態。一切力入れない。
4:吹き口と歌口の関係性。狙い所と調節。(とても絶妙。鳴りどころを探すしかない)


因みに、このホイッスルトーンがフルートで出来るようになったらピッコロの音が良くなりました。同門下の子もホイッスルトーンが出来るようになってからピッコロの音が良くなったと言っていたので、私だけではないようです。

何故ピッコロの音が良くなるのか推測

ピッコロは楽器が小さく吹き口も小さく、高音域なため、ついフルートの高音域のアンブシュアで吹いてしまう=アンブシュアが力んでしまいがち。でも本当は吹き口と歌口の関係性・狙い所のセンシティブさと、息の量のコントロール力を高めれば、力まずに綺麗な音を出すことができます。

これらのテクニックを求められるホイッスルトーンは、絶好のトレーニング方法なのかもしれません。


とにかく唇に力が入ってると、息のスピードが速すぎると、息の量が多すぎると出ないホイッスルトーン


管体が長くなると、その分息量がいるせいか、音が弱々しくなる傾向があるかと。小泉浩:フルートの現代奏法―演奏家と作曲家のための―(SJ250)には、高音域のスペシャルフィンガリングが載っていましたが、私のフルートではイマイチ?フルートによるのかもしれません。

 

 

私の個人的経験上では

1:左手の音の方が大きな音が出しやすい。
2:高音域の指使いの方が出しやすい。(下のビデオ最初)

 

また ウィルオッフェルマンさんの現代フルート奏者のためにのエチュードでは、低音のド、ド#の指使いだけでハーモニクスホイッスルトーンをするというエチュードがあります(ビデオ21秒から) 音は弱々しく、実際曲では使いづらいですがホイッスルトーンの良い練習になります。High Dはかなり難しいです。


ピッコロのホイッスルトーンは今の所実際曲では使ったことはないのですが・・・管体が木製のせいか共鳴は銀製フルートとは少し違う気がします。ただ管体が小さいので音が大きくなります。(ビデオ1分16秒から)高音域指使いは鳴らしづらいですが、中音域は普通になります(Dは人差し指抜かない)人によるのかもしれません。ピッコロの場合管体が小さすぎるせいか、むしろ右手を使う音の方が出しやすいです。

どちらにせよ良いアンブシュアの練習になるので、ある程度吹ける方はチャレンジしてみると良いと思います!

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