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​高音域の練習

​豊かなソノリテ/Pで演奏する方法

今回のテーマは高音域です!

 

 

耳をつんざくような高音域をもっとまろやかにしたい!
もっとたっぷりとした豊かな音で吹きたい!


そんな目標を持って練習されている方も多いのでは?


みなさんは音が良くなるための練習としてモイーズ:ソノリテについて /ルデュック社をお使いになる方も多いかと思います。このメソードは王道ですよね。


でも音はアンブシュアだけではないのです。音は息を出すことによって音になります。


ではその息はどんな息でも良いの??もちろんNOですよね!!

 

初心者の方は弱々しい息しか出ないので音もか弱いですが、腹式呼吸でより深い呼吸が出来てくると、音も安定して良い音になってくるというのは、みなさん体験済みなのでは。


アンブシュアを絞って出す、耳をつんざくようだった高音域も、呼吸が深くなり息が安定してくると小鳥のさえずりのような美しく軽やかな高音域に♪♪

 


そこでより深い呼吸と脱力により、より素敵な音が出せるようになる練習を3つご紹介します!

 

 

【高音域脱力練習法】
今回は壁を使っての練習です。必要なのは壁。それと滑らない床です。お家で床が滑る場合は靴下を脱いだりして滑らないようにして下さい。


・まず両足は軽く開き、体を椅子にちょっと座る寸前程度に腰を落とします。
・壁に尾てい骨の部分を当てて、尾てい骨を壁に押し付けるようにします。
・上半身は少し前傾にします。
下の図(まるでピカソの素描みたいな絵ですが)のようになります。
 

Sketch.jpg

腰は体勢維持が辛くない程度に落とします。足腰筋肉の鍛えが目的ではないので空気椅子みたいにならないようにご注意ください。

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イメージとしてはスキーみたいな感じです。

1393767-1.jpg

スキーは少し腰を落としますが上半身も体もしなやかですね。しなやかさを無くさないようにするのが大事です。

”足腰で支える”のではなくて、尾てい骨を壁に押し付ける力(最初の図のオレンジ色の→)を意識して楽な腰下ろしポイントを見つけてください。


上半身の前傾姿勢と腰を落としていることで、重心が下がり、息を深く取ることが出来ます。試しに息を吸ってみて下さい。いつもより深く吸えているという感覚があれば良いポジションです!


この体勢で、例えばソノリテの練習をしてみたり、高音域の出にくいフレーズを練習してみたりしてみて下さい。そして体にこの滞りなく息が出て行く感じを覚えさせて下さい。


滞りがなくというのはポイントで、フルートはポジションが高い位置にあるので、肩や上半身に力が入りやすいですし、難しいフレーズなどは、皆さん練習しているうちに体がカチコチになってきます。膝も曲げてみたら、バキバキ!!と鳴るなんてこともざらです。


難しいし、息は大変だし、さらに出来ないイライラもあって、高音域の練習などは周りの人も聞くに耐え難い、耳を刺すような音で練習していたりするものです。


それではせっかく吹けるようになっても、音が美しくない。。。。


この体勢は上半身に力が入れづらいですし、膝も最初から曲がっています。尾てい骨という体の中心で支えていることで、脱力が出来ます。どんな時も息が滞りなく、深い息が出ているという状態を、体が覚えるというのが大事です。


コンサート・レッスンでは壁に寄っかかって・・・というわけにもいかないです。なので体が感覚を覚えるということが大事なのです。


この体勢も、いくら”楽に”といってもずっと続けると太ももが辛くなってきますから、やりすぎて筋肉痛やひざ痛になどにならないようご注意くださいね。

腹筋を使って高音の練習

フルート演奏は優雅に見えますが、実際には結構ハードな楽器です。

吹いている息の半分近くは、音にならずに遥か彼方へと飛んで行ってしまいます(といっても、それが音を作るのに必要でもあるのですが)

お腹から息を出すということが、とても重要になってきます。高音域は特にお腹の支えが必要で、口の力で力任せに出すと、誰もが耳を塞ぎたくなるような音になってしまいがち。特にピッコロはお腹の支えが重要になってきます。


口をピンっと張って出す音のデメリットはもう一つ。音程がとても高くなってしまうことです。大概の初心者や、吹奏楽部などで常に音程を気にしなければならない人達の悩みが、”高音域の音程”です。こと、ピッコロに至ってはべらぼうに高くなってしまうこともしばしば。

今回は口に頼らず、とにかくお腹からの息で高音域を支える音を出せるようになろう!という腹筋を鍛える練習です。私が高校生の時から、ずっと行っている練習です。仕組みは簡単で、まずは中音域の”H”を腹筋だけで、タンギングなしで練習します。

四分音符から、八分音符、三連符という形で、短くフっフっフっと吹きます。毎回フの後の休みの部分で息を吸いますが、凹んだお腹を戻すという感じでしょうか。息を吸う方は意識しません。

音の美しさはさておきです。口はダバダバ(力の入ってない状態)を意識して下さい。口の力じゃなくて、お腹の力で出してやる!というつもりで。練習して行くうちに、段々要領は掴めると思います。

腹筋の練習1.jpg

上の三連符が出来るようになったら、下の譜面にチャレンジです。下の譜面には、休符は書いていないですが、上と同様短くして、各音(各拍ではなくて、各音です)の後に息を吸います。

フっ(吸) フっ (吸)フっ (吸)となり、毎音の後に吸っているので、理論上ブレスをどこかで取る必要はありません。80〜となってますが、ブレスを取らないでも出来る速さから始めて下さい。
こんな感じになります。(殴り書きの注意書きがありますが・・)

腹筋の練習1.jpg

ちなみに、フっっと勢い良く吐く時に、お腹の中を空っぽにする必要はないです。

緑の状態が通常として、軽く吸った状態がピンク、ガッツリ吸った状態が青として、青とピンクの間を行ったり来たりする感じです。

腹筋練.jpg

私の師匠も言っていましたが、”演奏中は肺の中が空っぽになる状態にはしない”という理論です。演奏や音には常に”柔軟性”のような物が要求されます。空っぽ状態だと、その柔軟性が全く出来ないのですね。ということで、「空っぽ」と「満タン」の行き来ではなくて、軽くある状態と満タンの状態の行き来くらいに思って下さい。実際には見えない話なので、”感覚”のことですが。

 

ちなみにこの練習は宮本明恭氏の教本からの抜粋だったと記憶しています。20年以上の重宝です。スッキリするし、エクセサイズとして覚えやすく、そして基本的で一生役に立ちます。宮本氏は他にも初歩から正しく上達する 実践フルートレッスン  という教本をかかれていらっしゃるようです。

【高音域をpで演奏する方法】

美術で『赤、青、黄色』の『三原色』というのを習いましたか?音にもいくつかの『要素』があります。フルートの音は、息の『圧力(お腹の支え)』『スピード』『量』のバランスで決まります。アンブシュアの形などもありますが、それは細かいテクニック。口はあくまで出口に過ぎませんね(ある時パユさんも同じこと言ってたので、自信満々に言えるように笑)

今回はその三原色ならぬ、三要素を意識して「音色のパレット」について考えたいと思います。

 

 

音のパレットの色を増やそうとよく聞きます。では音色のパレットはどうしたら増えるのか。音に実際色がついていてくれればわかりやすいですが、残念ながら音は無色無臭。耳で聞くしかありません。音のイメージを持つこと大変大事ですが、正直なところ、どんなに”こんな音でーー”と念力を送った所で、中々魔法は掛かりません。

 

そこで”きれいな赤色だなぁ”・・・という所を一歩踏み込んで、これは三原色がどのような割合で混ざってこの色になるのだろう?と、分析することで色の数が増えるように、音色も同じようにちょっと冷静に分析して、音色のパレットを増やしましょう!

 


高音域をP 圧力(最大)ースピードは高音域用ー量減らす

 

高音域は基本的に息のスピードが必要です。これを”P”にする場合は、息のスピードは落とさずに量だけを落とします。量を落とすと一緒にスピードが落ちることが多く、音域が落ちてしまったりします

又、初心者は大概お腹の支えが足りず、口プッシュ(ホースの先っぽを抑える原理で、口周辺に力を入れることでスピードを上げてる)で息のスピードをつけて高音を出してることが多いので、全体的量を落とすことが出来ません。そのため、高音域のPは難しいです。

高音域Pでの音色パレットの分析

一口に高音域のPといっても、それだけだと機能的で、あまり音楽的ではありません。

 

ここで、音楽的一例ですが、例えばespressivo、表情豊かにという指示があり、メロディーが大変甘美だったとします。

同じ高音域の”P”でも、息のスピード>量で出すPは鋭い音の印象を与えます。スピード<量では柔らかい印象を与えます。
 

上記の指示があるところで、スピード>量になると鋭さが目立つため、ロマンチックな愛の言葉を早口で鋭く言われてるような、微妙な誤差が生じてしまいます。なので、スピードは保ちつつ〜という程度で息の量でスピードをカバーする、スピード<量で演奏します。


逆に緊張感のある高音域のP、侍斬切り!(福島和夫の冥の中に出て来るような)の突き抜けるような高音域のpというのもあるかと思いますが、そんな時は量<スピードです。

息の量はPなので、基本ケチケチと使わなくてはなりません。ただスピードを出すとついつい息の量も出てしまうので、お腹の支え(圧力)を使って、息よ出て行くなかれ!という感じです。ファゴットやオーボエの人は体内に息がたまって苦しくなるらしいですが、ちょっとそんな感じですね。高音域のピアノは体内圧力が高まっていると思います。

こうやって3つの要素を考えると、色々な音色が出来て来ます。

もちろんこれだけではなく、体内反響、鼻腔の話など、豊かな高音域のPを出すにはたくさんの工夫が必要です。

そして一番大事なのは”こういう音が欲しい!”という、内側からの欲求ですね。音のパレットを増やすには、感性のパレットを磨きましょう(^^)
 

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