​脱力法

3つの脱力体操

音楽院時代の夏の講習会で、「体の仕組み」というセミナーがあり受けたことがあります。中々楽しいもので、色んなエクセサイズがありましたが、夏休み明けて初レッスンで「音が断然良くなってる!!」と言われました。

そうなんです。 楽器演奏は、楽曲分析、テクニックと色んな細かい所にも気を配りますが、運動でもあります。生徒が難しいパッセージを弾いてる時に、音の伸びがないので、「膝曲げてごらん」と言うと、バキバキバキっ!とすごい音が。首・肩もしかりで、首もボキボキ、肩もゴキゴキ。体に力が入ってる証拠なのです。また姿勢が良くないのをちょっと変えるだけで、音が三倍も四倍も飛んで行く。

 

体の使い方が悪いと音が伸びないのです。つまり脱力運動や体の使い方を知るということは、大切な楽器練習の一部です!

バランス片足立ち

ヨガの本から。瞑想の本で基本集中力を高めるためのものらしいですが、何より「体のバランスを自動的に見つける」のに役立ちます。その方法は極めて簡単で、目を瞑って片足で立つだけ。 忙しさで頭が一杯の人は目を瞑る事さえ出来ないらしいですが…。とりあえず目を瞑って片足で立ってバランスを取る(手でバランスは取って良いようです)。本の著者曰く、達人は2時間とかそれで立ち続けるのだとか(私はそんなに立っていられません)・・・

ちなみに女の人は腰がくぼんで、お腹が出て、お尻がアヒルのように後ろに出てしまってる人が多いのだそうです。こんな感じ→

この体勢は、女性らしくて可愛いと思う男性も多いそうですが、バランスが悪い&肺の下の方が圧迫されてしまってるので、バランス立ちは難しいです。胃袋とか内臓を骨盤円周の中に全部収めて乗せるようなつもりにすると、自然と少し真っ直ぐになります。

重心も骨盤あたりを意識して、胸も張り過ぎず狭すぎず・・・と、段々自分の体が勝手に良いポイントを探してくれるでしょう。この練習をしてると重心が低くなり、安定感は確実に増しました。演奏してる時(特に難しいもの)は、段々体に力が入ったり、段々肩に力が入り、段々重心が上がって来て、段々視界と共に全てが狭まって来ます。ただ片足で立つ時間を持つだけで、両足で立った瞬間に「わー、安定している」(当たり前と言えば当たり前ですが)と感じると共に、ちょっと今までなかった感覚を持つ事が出来るのです。楽器の構え方も、不思議と少し堂々としますよ。

 

下半身が安定した分、上半身が自由になる感じ…でしょうか。

肩の脱力ー腕まわし

私も音大受験時代、肩がおばあちゃんみたいに凝ってると友人に言われました。ガッチガチ・・・でも、皆さん試しにググっと肩に力を入れてみてください。同時に首&肺周辺も力はいりませんか?これでは音が飛ばないだろうというのは、想像もつきやすいですよね!


肩の脱力運動は二人一組なことが多いのですが、この運動は壁を使ってもなんとか出来るかもしれません。

とりあえず腕をぐるぐる回すという体操です。反動をつけたり、勢い良く、速くまわしたりしないでください。

 

肩甲骨の動きを認識するための体操なので、手の先ではなく、腕の根元を意識して腕を回します。腕を伸ばしているのがつらかったら、腕を曲げていても構いません。前回し、後ろ回し、水平前後運動と、とにかく可能な動きを、適当に変えながら行います。

 

その間、肩甲骨のところに相方が手を当てておくと、より一層肩甲骨の動きが分かります(それを一人の場合は壁で行うことも出来る)。手を置いている方も、相方さんの動きを感じることで、骨の動きが分かります。

何分間か行い、動きを止めて腕をおろすと、ちょっと違った感覚が感じられると思います。

 

人によって違うらしいので、「こうです!」とは言えませんが、私の場合は、腕が自分の所有物であることを改めて感じた・・・という感じです。つまり腕が体の幹である胴体とは別物に感じるような、それでいてそこにちゃんとくっ付いている物体であると再認識できるような、そんな感覚です。

腕って体の一部であることが当たり前で、適当に笛を持って、適当に吹き始めちゃうみたいな・・・適当感満載だったのですが、腕は別ものという感覚が出来ると構えの美しさも変わります(美しいと、自分で言ってしまいました)

肩は腕の根元で、腕とはハンガーがごとく、胴体にぶる下がっている物体なのです。フルートを構えて、完全に肩が腕を支える状態になってしまうと、肩に力が入ってしまいます。この根っこである肩甲骨とのコンタクトを失ってしまわないように、肩甲骨から変に浮いてしまわないように(フルートを構えれば、少しは上に動きますが)気をつけてみましょう。

 

「私はもう若くない」と自覚されている方が注意すべき点は、若い頃よりすべての動きがきつくなっているということです!!

ということで、とにかく無理をする必要はなく(脱力運動からぎっくり肩になっては大変!)、出来る早さ、出来る範囲で動かすことです。
 

上半身を縮こまらせずにユッタリと使う運動

上半身上部の脱力最後です。この運動は「脱力」というより、体を(ゆったり)大きく使う、スペースを知るという感じかもしれません。

今私もパソコンを打っていますが、目先は数十センチ前の画面、手はキーボードの上です。これをずっと続けていると、全てが△のてっぺんに集中したような感じ・・・・と言えば良いでしょうか、肩は凝るし首は凝るし・・・

フルートも譜読みを続けて、難しい指使い、出しにくい音と戦っているうちに、肩に力が入り、目線は数十センチ先の譜面に釘付け・・・本番前にはさらに必死さも増し、そしてそのまま本番へ。△のてっぺんに力が入ったまま・・・になりがち

今回ご紹介する体操は二人組で行います。
 

  1. 1人は椅子に座り、もう1人は横に立ちます。

  2. 座った人は片方の腕を伸ばし、もう1人の人はその手首を支えます。

  3. 座った人はもう片方の手で、自分の鎖骨の間辺り、頸椎(首骨)との交差点辺りに手を置きます。(首を動かすと動きが感じられる所。動きを感じるためです。)次にゆっくりと立っている人がいる方向に顔を向けます。

  4. 自分の指先をしっかり見て、そして立っている人と視線を合わせますこのときの体の動きにも注意を計りつつ・・・)

  5. そしてまたゆっくりと、今度は反対方向に首を向けます。この距離を見ることと、骨の動きを知ることが大事です

  6. 元に戻します。

  7. 何回か行って、交代します

例によって、あまり上手でない絵による解説です↓(立ってる人が顔無しになってしまいました )

この距離を見るという感覚は中々新鮮です。いかに自分は狭い所を見ていたか・・・と感じる人もあるかもしれません。

この「自分の空間を感じ取る練習」は色々とあるのでまた紹介していきたいと思いますが、講習会でこの練習をした後に皆が楽器を持ってみると、音がまず飛んでくる。既に楽器を構えるジェスチャーがゆったりしている(せせこましく楽器を構えるプロの人はいませんね・・・)など、耳にも見た目にも変化がありました。面白いものですね。

 

皆さんも空間を見る練習&体の動きを感じる練習をしてみてください。それこそ、視野を広く持つことの大事さを時間できるかもしれません。

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