ブリュッセル楽器博物館での演奏会(コントラバスフルート)
- Apr 2
- 4 min read
Updated: Apr 3
だいぶ前になりますが、2月7日に楽器博物館で行われた演奏会について。
久しぶりにフルートとピアノの編成で演奏しました。このシリーズは国ごとにテーマがあり、今回はドイツがテーマ。
前半は井上麻衣子さんによるベートーヴェンのソナタ、後半に私がヒンデミット《8つの小品》(フルート独奏)、シューマン《ロマンス》、そしてベーム《シューベルトの主題による変奏曲》を演奏しました。
シューマンの《ロマンス》は、ロマン派を得意とする井上さんと相性が良いだろうと思ったこと、私自身あまりシューマンを演奏する機会がない中で、その美しい音楽に触れたいという気持ちから選びました。ちょうど頭部管を新しくしたばかりで、甘さや熱量のある音色を試してみたい、という楽器的な興味もありました。
今回の私の一番の推しは、ヒンデミット《8つの小品》。この《8つの小品》をフルート、ピッコロ、アルトフルート、そしてコントラバスフルートでそれぞれ2曲ずつ分けて演奏してみました。

ピエール・クーロン氏による塩ビ管コントラバスフルートを使い始めて以来、この楽器を独奏で活かせないかとずっと考えていたのと、ピッコロやアルトフルートも所有していながら、活動の半分が篠笛ということもあり、なかなか出番を与えられていないので、とても良い機会でした。
しかし、持ち替えによるアンブシュアの対応は想像以上にハードなものでした。篠笛でも(1本調子から12本調子まであり、1回の公演で5本ほど違うサイズの篠笛を使うことも珍しくありません)持ち替えには慣れが必要ですが、ピッコロからコントラバスフルートへの移行は、生まれた翌日に70歳を経験するような極端な変化に感じられ、相当な適応力を求められました。
ヴァイオリニストの夫も、この試みにはかなり面白がってくれました。ヴァイオリニストがヴィオラ、チェロ、コントラバスと持ち替えていれば曲芸であって、クラシック音楽としてはふざけた奴だで終わるところが、フルート族だと「すごい!」と受け取られる。この点はある意味、楽器の特性として得をしているのかもしれません。
ヒンデミットはもともと好きな作曲家でもあるので、今後はこの作品をレパートリーとして定着させ、持ち替えの技術もさらに洗練させていきたいと思っています。

ベームについては、極端な話どの曲でもよかったのですが(笑)、最近、技術を維持するために少し負荷のある作品に再び取り組もうと思い、変奏曲を選びました。ただ、この種の作品は、いくら必死に吹いても、音楽的価値が背景にあるかと言うとそうでもないので、圧倒的技術を持つ人が、「どう?俺の技術すごくない?」と自慢げに演奏してこそ、真価が出るものだと改めて感じました(笑)。あんまり好きではないのです笑
でも、楽器博物館という会場の特性もあり、現代フルートの開発者であるベームという存在を紹介したいと思ったのもあります。クラシック音楽はただ聴くだけでも楽しめますが、背景を知ることで一層面白くなる側面もあります。私はもともと解説を交えながら演奏するのが好きで、今回もそうしたスタイルを取り入れました。
誰もが知っている作品で親しみやすさを重視するのも一つですが、あまり知られていない作品でも、プログラムノートを通して背景を知りながら聴くことで、別の面白さが生まれます。それもクラシック音楽の魅力の一つだと思っています。フルート作品は、フルーティスト以外には知られていないことも多く、そうした事情もあって、つい解説したくなるのかもしれません。
ちなみにベームは、機関車の蒸気機関車の汽笛の開発もしていたそうです。とりあえず”笛”が好きなんですね。
演奏会後には、ある音楽学校の先生が来ていて、”カンファレンスに来る人はあなたみたいな人がいい”とおっしゃっていたので、解説評判はよかったようです。




Comments