東京ブリュッセルトリオ録音-早くも4周年
- Aug 28, 2015
- 4 min read
(2015年08月28日(金)の再掲)
先週からは、東京ブリュッセルトリオ漬けの日々でした。
3月にカプースティンのトリオを録音した続きとして、今回はマルティヌーとピエルネを録音。金曜日にサロンコンサート、日曜日に小さいコンサートを行い、録音前にお披露目もしました。人前で演奏することで作品はより熟します。カレーは寝かせて熟しますが、演奏は寝ても熟さない。やはり実践あるのみです。
特にピエルネは4年前から演奏してきた曲ですが、今回ようやく深く向き合うことができました。「古き良きパリの香り」をどう表現するか、その試行錯誤がとても面白い時間でした。
録音は前回と同じくアルデンヌ地方のスタジオ。今回は電車移動で、牛や馬、羊のいる風景を抜けて到着しました。ヨーロッパの録音はこうした田舎で行われることが多く、静かで集中しやすい環境です。
マルティヌーは高音域が多く、長いフレーズでとにかく息を使う作品。朝から全開で吹くのはなかなか大変ですが、マイクが立つと自然と集中力が上がるのが不思議です。
一方ピエルネは、冒頭がソロでしかも難しい音域。繊細なコントロールが必要で、朝の状態では特に神経を使います。つまり結論としては、朝は何をやっても大変ということですね。
夜にコンサートをして翌朝には録音。その都度テンションを調整しなければならないのも、音楽家の仕事の難しさの一つです。
一日中インスピレーションを保ちながら体力も維持する。ある意味、常に時差ボケのような状態なのかもしれません。

最近はむしろ「どこでもすぐ寝られる力」が大切なのではないかと感じています。今回も「とりあえず寝ておく」を何度繰り返したことか。短期集中型のプロジェクトでは特に重要なスキルです。
このトリオ、ニコラ君は面白いし、長浜さんも個性的で、いつも笑わせてもらっています。とはいえお笑いトリオではないので、もちろん真剣に音楽にも向き合っています。
フルート・チェロ・ピアノのトリオはレパートリー自体はそれほど多くないのですが、その分なかなか大変な曲が多い編成です。笑っていたかと思えば、次の瞬間には全員が真剣な眼差しで練習している――そんなONとOFFの切り替えがはっきりしたトリオです。
明日は録音前の試演も兼ねてブリュッセルでサロンコンサート、そして日曜日にはニコラ君のいるサント=オードでコンサート。その後に録音という流れです。
今回録音するのは、昨年のベルギー&日本公演で演奏したマルティヌーのトリオと、2011年に初めて3人で演奏し、3年前に日本でも取り上げたピエルネの室内ソナタです。
最初にこの3人で演奏したのはもう4年前になるのか、と改めて驚いています。
長浜さんとは、ブリュッセル郊外のブレンヌ=ラルーという小さな駅で待ち合わせをして、そこでニコラ君と初対面。「アンシャンテ」と挨拶した瞬間を、今でも昨日のことのように覚えています。
私は2人とも知っていましたが、ニコラ君とはそれまであまり深く話したことがなく、このトリオをきっかけに距離が縮まった感じでした。
ところが当時、私が長浜さんの来ベルギー日程を1日勘違いしてしまい、たった1日半しか合わせができないのにかなり詰め込んだプログラムを組んでしまったのです。
食事に行く時間もなく、バナナ片手に長浜さんが「もうだめですーーー」とソファに倒れ込んだ光景。それがもう4年前だなんて、信じられません。
学生時代から一緒に演奏してきた長浜さんの来ベルギーをきっかけに、「せっかくだから何かやろう」と思い、そこに「ベルギー人も一緒にしたらもっと面白いのでは」という発想が加わって生まれたのがこのトリオです。あの短期間の合わせにも関わらずコンサートを成立させることができた、その時の信頼感は今でも強く残っています。
その後、日本公演が実現し、ニコラ君によって「東京ブリュッセルトリオ」という名前が付けられました。日本とベルギーの首都の名前を冠する、少し大きな名前。それに負けないようにしていかないといけませんね。
今回のコンサートでは、録音曲に加えてフルートとチェロのデュオも演奏します。
中でも印象的なのが、ヴィラ=ロボスのジェット・ホイッスル。「誰がこの速さで吹けるのか?」というテンポ設定と音数で、低血圧の日に吹いたら最後に倒れそうな作品です。

先日はニコラ君の家で合わせをしました。森の中にある家の屋根裏を自分で改造してコンサートスペースにしていて、日本人の感覚だと「まだ完成していない」感じでも、ライトが入ればベルギーでは十分に会場です。どこでも演奏の場にしてしまうあたりは、やはりヨーロッパだなと感じます。
東京ブリュッセルトリオは、2016年3月末に日本公演を予定しています。その際には今回録音したCDもお披露目できる予定です♪♪


Comments