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​アンサンブルの曲作りのコツ

​バランス・繋げる・聞く!

先日自分が高校生の頃(普通校)の吹奏楽部の東関東大会の演奏を発見して、懐かしいが一番ですが、結構上等の出来で驚きました。他の学校はもっと上手でしたが。日本の吹奏楽のレベルは高いです。我が吹奏楽部では当時アンサンブルもありました(覚えてるのは、カステラードの笛吹きの休日)。アンサンブルは規模が小さくなるので個人の技術がバレバレになり、その分全体の実力は必然と上がります。音程も練習しやすいなど利点が沢山。吹奏楽部で吹かれている方、是非アンサンブルを!

 

アンサンブル・吹奏楽に限らず合奏ではバランスが大事です。皆各自のパートを吹くのに必死でバランスが悪くなり全体の出来として何がなんだか分からない、ガチャガチャした物が出来上がってしまいます。

 

メロディーと伴奏など、役割を知る

バランスには色々ありますが、一番単純なのはメロディーと伴奏です。

当たり前ですが、伴奏パートがメロディーより「目立つ」と、聴いてる方は何が何だか分からなくなります。しかしどうすると「目立っちゃう」のでしょう?

以下、ボザの夏山の一日のロンドを例に少し説明します。

図一の楽譜は単純明快で、1ST フルートがメロディーで、2nd 3rd 4thフルートが伴奏です。以下のように、伴奏パートは和音を四分音符(二分音符、四分音符)など単純な譜割で作ってる場合は、音程・縦の線(アインザッツ、入りを揃える)・長さを揃える事が大事です。そして、音量的にメロディーに勝らないようにする。下の譜面は、メロディーラインが高音域、他は中音域と低音域なので、音量的心配は殆どないでしょう。音程・縦の線と長さを揃える事に精を尽くします。
また最低音は支えとして重要ですが、フルートは悲しきかな低音の音量を鳴らすのが難しい。パート分けをする時は、低音ががきちんと出せる人が、低音パート(主に4TH)を担うべきです。

 

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【一見ややこしそうな譜面】

下の図のパターン

 

メロディーラインは2ndと4thがオクターブのカノン(かえるの歌状態)で担当しています。メロディーがズレて入るぶん、既に少しややこしく聞こえますが、そこに持って来て、16分音符の伴奏が1st & 3rdにあります!!

上手くすれば、水の流れのように風のように吹き抜ける音符の中、山を散策する人々のこだまする声…の描写(勝手なイメージ)。下手すると何が何だか分からない土砂崩れの図。

こういう一見ややこしそうな譜面は、奏者が分け分かっていないと聞く方には何も見えて来ないので、まずは奏者の耳にクリアーになるようにしましょう

1.メロディーカノンだけで吹いてみる。伴奏パートだけで吹いてみることは必須。

2. 伴奏は16分音符の分散和音になっても、かならず音程・アインザッツを合わせる。

3. どの音量もmf の指定にはなっていますがメロディーに比べ、ほんの少しだけ音量を落とすのがコツ。音量を落とすと考えるよりも、メロディーを聴く、お互い聞き合うと考えると自然と少し音量が落ちます。

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伴奏だけの練習

 

最後のクライマックスです。当然ここでも重要になるのが、伴奏だけの練習です

 

こういう16分音符の伴奏の場合ついつい指の事に集中してしまいがちですが、もちろん指が回る事も大事ですが、音程ー長さーアタックを揃えるということが重要です。

 

3人が沢山の音を吹いているので合っていないと邪魔感が増します。各自のアルペジョの音程があっていること(個人練)、そして3人でゆっくり吹いて音程を合わせることが重要です。


さて、これは曲の最後のクライマックス部分です。Più vivoとありますから、伴奏だからって音量下げて始めてしまっては、盛り上がりに欠けます。こういう時はやはりffでしっかり始めて、そしてメロディーが入る所で少しだけ落とす・・・という技を使ってみましょう。

 


といっても、いきなり落とすと思うと不自然になったりします。

 

そういう時は(個人練で)「自分の伴奏パート2 小節を吹き、そのままメロディーラインを吹く・・・」という練習をします。すると自分のパート吹いている時もメロディーラインが自然と聞こえ、さも自分が吹 いてるように思え、自然に音量を落とす事が出来るのです。音楽ではこういう「不思議な自然感」を持つことがとても大事です。


2ページ目の一小節目のように、メロディーパートがない部分では元の音量に戻し、大きく<>をするのも効果的。

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音楽をつなげる

アンサンブルによっては、1stフルートがひたすらメロディーを吹き、他は和音を構成する伴奏というパターンもありますが、本格的なアンサンブルや、アレンジでもきちんと作られてるのは色んなパートに所謂「聴かせどころ」「美味しい所」が分散されています。それをどう繋げて、どう展開させて行くかというのも聴かせどころの一つです。


第一楽章は、2ndフルートのテーマから始まります。4小節の終わりでディミュニエンドで3rdフルートにテーマを渡します。次に2に4thフルートがテーマを引き継ぎます。

 

 

こういう引き継ぎパターンの際に注意するのが、テーマを終える人が音楽を終えてしまわないようにすることです。ディミュニエンドがあると益々終えたくなりますが、自己完結してしまわないで、次に”渡すよ”という心意気を持ち繋げて行くことです。

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具体的にはテンポを落とさない。とくに練習番号2の一小節前の2ndフルートのように細かい音になっている時や、写真2の練習番号5の1stフルートのように細かい音になった上に次が休拍の時など。

細かい音が休拍の後が休拍だと音が「ブツっ!!」っと切れた感じになるのが怖いので、ついついリタルダンドをしたくなりますが、折角練習番号4でA tempoに戻った所に出ばなをくじかれてしまいます。

 

コツとしては、練習番号の5の、2ndフルートの"E" (ミ)を吹くつもりで…でも吹かない。するとブッツリ切れた感がなくなります。

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一楽章のクライマックスに近づくと短くなった主題モティーフが繰り返されて、練習番号10に向かって行きます。これは毎回切れてしまわないように特に注意していきましょう。

​アンサンブルのための個人練

少人数のアンサンブルでは他の人のパートを知っているというのはとても大事なことです。余裕があれば他の人のパートもそこそこ練習するのが一番だと思います(そうすることで相手のパートもより聞こえます)。

 

一人で練習している人などは特に休みの部分の拍子感の無視、間違えたと吹き直してしまったり、長い休みは適当に飛ばしてしまったり・・・
そういう癖がついていると、アンサンブルの時に困ったりします。いざ数えようと思ったら相手がどこを演奏してるのかサッパリ分からず落ちてしまったり。

 

では1人の時どんな練習をしておくと良いでしょう?
例えば、休みを数えた後どうしても入れないということがあったとします。大体入れないという時は、拍子感覚が崩れてしまう時なのですが、そんな時は相手のパートを吹いて自分のパートに繋げる練習がお勧め。ピアノでもなんでも、メロディーライン部分など吹ける所を吹く。そうすることで相手のパートもしっかり感覚で掴めるようになります。

下のような音型のDuoがあったとしましょう。アウフタクとがあると入りにくいなんてことはしばしば。そこで、一番フルートを吹き、二番フルートに繋げる練習をします。その時に大事なのはしっかり拍子感覚を持って練習する事。これを何回か練習すれば、”三拍半休み”もずっと音楽に乗って数えられるようになります。

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これは基本的パターンですが、難しい曲でも応用出来る事です。ややこしいリズムも、聞いてるだけでは実は余計ややこしかったりします。吹けるようになってしまえば(練習と言う労力は払うにせよ)、ややこしさは半減。

​音楽に乗った呼吸

さて、いざ合わせるとします。時々、曲と全く関係ない速度、全く関係ない間で吸う人がいますが、基本的にはカンニングブレス以外は曲のリズムの中で吸います。相手のパートを全部聞き終えてから慌てて吸うのでは遅れてしまうのはおろか、音楽も壊してしまいます。私ならば、曲のテンポと雰囲気にもよりますが、入る一つ前の四分音譜、あるいは八分音符に合わせて息を取ります。

八分音符で取る場合は、休みの数え方は、3と、1と、2と、スっ

のようになります。普段の練習から、常に拍子の中で、相手パートを意識して、それに見合った呼吸を取る事も大事です。

息を合わせると言いますが、音楽でも呼吸を利用してタイミングを合わせるわけですが、その呼吸は音楽に沿ったものでなくてはなりません。全員が吹奏楽器だとそんなに問題はないのですが、ピアノ、弦楽器などと合わせる時は時々息による障害を感じる事があります。しかし音楽には常に呼吸がありますし、弦楽器の人でも上手な人は呼吸をして音楽を作っている位です。なので、もしあなたの吹奏楽器奏者でないパートナーが息を吸わずに演奏していて合わせる事が出来ず「ここは音楽的に呼吸を取る所なのではないだろうか」と感じたら、積極的に提案してみて下さい。「ここは本当は息は吸いたくないのだけれど、残念ながら力不足で・・・」という場合は、丁寧に一瞬待ってもらうようお願いしましょう(^^;


吹奏楽器の呼吸は、決して欠点ではなく、むしろ利点です。ただどのようにその呼吸を使うかというのがポイントでしょう。

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