​音の練習

1. 音と音の繋がり

音は楽器演奏の基本です。私の師匠は、音が魅力的でなかったら誰も聞いてはくれないと言っていました。先生はオーケストラなどの団体ではなく、個人で演奏されていらっしゃる方でしたから、尚更と思います。聴きに来て下さる方を直接魅了しなくてはならないので、音は勝負所です。

 

このページは1.心得​ 2.”ソノリテについて”を使って 3.その他の教本のご紹介、4.音の練習を実際に活用するの4項目です

まずは

 

【1心得】

長年の経験から、音の練習で大事なことは音と音の間の繋がりと確信しています。もちろん一つ一つの音のが良くなくては駄目なのですが、こればっかりは一生の課題。音を練習したいと思う人は音に注意するでしょうから、それはそのうち少しずつ改善されていきます。
 

基本的には息をたっぷりと使うというイメージ。一つの音に全てをつかうのではなく音と音の間に息があるという状態です。よくよく自分の音を聞いて練習してみて下さい。音と音の間に、やせ細った音、シューっという中身のない音が聞こえませんか?

この音と音の間をキープするという練習は意外と疲れます。そして何よりお腹の支えが必要になるのです。お腹の支えは何より大事ですが、これもただ「支えて」というと、全身カチコチになってしまう場合もあり、それでは良い音はなりません。

 

良い音を出すには、体が共鳴しなくてはならないのです。
 

私は良く息を吸った状態が上半身全体を円柱のようなイメージをもってもらいます。立体的イメージです。そして中心のほうから少しずつ息が出て行きます。外側はほどほどにキープされて、お相撲さんがお腹を内側から”押し相撲”しているイメージを持ってます。突っ張りではなく、押し相撲です。お相撲さんは、とてもしなやかですよね。このしなやかさが大事です。全身カチコチになりがちな人は、足もカチコチになりがちです。試しにスキーをするが如く膝を柔軟に動かしてみて下さい。スキーの際の重心の置き方は、フルート演奏にとても役立ちます。

【2 ソノリテについてをつかって音の練習】

教本の王道、ソノリテについて (Leduc版)のエクセサイズを使用するのがお勧めです。

さて、ここでいう音の練習は、いわゆるその人を魅せる音に直ぐにつながるものかどうかは分かりません。人を魅せる音というのは、技術だけではないです。しかし、やはり基本のテクニックとして”音”を徹底的に研究する事で、また音楽性も深まると思います。

さて音の練習の王道と言えば、やはりモイーズ : ソノリテについてが王道です。しかし、この本は一世代前に書かれているので、私達戦後生まれの現世代の人、さらには平成生まれの次世代の人には、このアッサリ感がなんとも???と感じる方も多いようで、少し辛抱と想像力も必要です。賛否両論色々あるようですが、モイーズとえいば、タファネル・ゴーベールに続いて、今あるフルート基礎練習教本の基盤を作ったような人で、上手に使えば、大変有効な本です。

 

ということで少し踏み込んで説明いたします。

まずは最も有名な、一番目の音の練習。メトロノーム60で、この長さでただ吹いていても眠たくなります。肺活量がまだない人は、苦しい上に眠たくなるかもしれません。私の予想では、モイーズさんは本当に辛抱強く、熱心で真面目な方だったのだと思います。

もちろんそれだけの辛抱強さがあるに越した事はないのですが・・・最初の練習の仕方の説明に関しては軽く流しつつ練習に取り組んだ方がいいかもしれません(音大生などで真剣に音に取り組みたい方は挑戦してみて下さい)

 

最も大事で気をつけるべきことは、出す音を良く聞くことです。音色・音質・音幅・音量がグラグラしないように、最初の音と次の音が同じクオリティになるように・・・と練習して行くのですが、よくある良くないパターンは、音の変わり目が図のようになることです。

こんな感じになることです。「これは何ですか?」と思われた方、すみません。

 

私の持ってるプログラムではこの図形が限界でした。上の図は、つまり最初の音の息がやせ細り、音が変わる瞬間に突如音量・音幅が変わってしまうということです。理想は下の図のようになることです。

息の圧力・量ともに変わらず、音幅・音量に変化がなく、音がスっと変わる。


難しいですが、ミクロ耳になって良く聞きながら練習します。音が増えても、音が離れても基本的には変わりません。同じ音幅、同じ音量でフンワリと作られた物を、後で自在に変形することは可能ですが、元々変な形になってしまっている音を他の形にするのは難しいのです。音の練習では、たっぷりの息で(といって力まず)、たっぷりのサウンドで作るのがコツです。圧力を保ってだの、シッカリした音で!と言われるとついつい力んでしまいがちですが、力まないように気をつけて下さい。足は安定しつつも、スキーをする時のようなシナヤカさを忘れずに。


慣れて来たら、自分自身でテーマを決めても良いかもしれません。今日は「甘い音で」「今日はガッツリな音で」などなど。
とにかくシンプルに書かれている本ですが、書かれている事は時が経てば経つ程、「なるほどねぇ」と頷きたくなりますし、シンプルな分、一生自分なりに工夫して使える本です。

【3 トレヴァー・ワイ、ライヒャルトを使って音の練習】

ソノリテについては、ロングトーンを中心にした練習です。ロングトーンとは、その名の通り、長い音の練習なのですが、今回は動く音で音の練習をしてみましょう。

トレバー・ワイ氏による音づくり1の中にも少し顔を出す、”ライヒャルトの6つの練習曲”。こちらは、練習曲・・というよりも、4小節程の簡単なフレーズをどんどん移調して練習するという感じです。同じような内容でフィリップ・ベルノルド氏の”アンブシュアのテクニック”という本もあります

これらの練習は音を移動しながら、音の練習をしよう!という目的です。調性があるので、その調にあった雰囲気の音を出すという練習にもなりますね。

まだ指が覚束ない初心者にはちょっと難しいかもしれません。運指がそこそこ出来る人達にはうってつけの練習になります。

トレヴァー・ワイ氏の音作りの教本は、説明も少々細かいのですが読み物としても興味深いです。改訂版があるのですが、古い版の方が評判が良いらしいです。 
 

 

【実際の曲、エチュードの中で音に気をつける

これらの基礎練習をのアイデアを生かして、エチュードや、曲の練習の中でも使う事が出来ます。スラ―・レガートは音づくりの基本とも言えます。タンギングは一見難しいですが、実はスラ―で演奏すると言うのはとても難しい。そしてスラ―で美しい音が出ていなければタンギングしたらもっと悲惨になるという、一見矛盾している事を言うようですが、どちらも事実なのです。スラ―で出来るからこそタンギングで出来る。タンギングだと誤摩化せる・・・。どちらも事実。


このようなエチュードがあったとします。これを全てゆっくり目にレガートで練習してみて下さい。気をつける事は、以前にも書いた事と変わりません。音と音の繋がりを意識して、柔軟且つしっかり支えます。唇にあまり頼りすぎず、カクカクした動きにならないように気をつけます。

どうですか??かなり大変ではないでしょうか?お腹の支えが必要です。唇のしなやかさ&柔軟性&筋力も必要です。

これは絵で言う所の下書きのような練習だと思って下されば良いのではないでしょうか。タンギング練習の為のエチュードでも、一回舌のことを忘れて音に注目してみて下さい。もしカスカスで、スカスカのレガートしか出来ないようだったら、それにタンギングが付くのですから…結果は目に見えてますね。


音の練習はこのように、機会あるごとに出来ると思って良いでしょう。

常に音に気をつけることこそ、音の練習です

© 2023 by KandaNozomiMusic